ブラジル日記

ブラジル経済の主要話題や各産業セクターの実情等、現地報道と体験に基づく考察。

クレジットカードの金利が15年ぶりの高水準

Anefacの調査によると、クレジットカードの金利が15年ぶりの高水準になったことが明らかになりました。

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12月の平均金利は11月平均の10.90%から0.32ポイント増の11.22%となり1999年6月の11.74%以来の水準となりました。主な要因は政策金利(Selic)の上昇です。一方で、実体経済においてインフレ率の上昇や金利の上昇によって、消費者のローン返済資金が目減りして、ローンが不良債権化する可能性も反映していると言われています。

 

クレジットカード払いが常態化しているブラジルにおいて、金利の上昇は消費者経済にダイレクトに影響します。加え、米国経済の力強い足取りにより長期的にレアル安が続くと予想されており、Selicも下げるどころか再度引き上げを迫られる可能性があり、今後ブラジル中央銀行にとって引続き難しい舵取りが迫られることでしょう。

ブラジルのインフレ推移

過去のブラジルのインフレ率の推移がExame紙に紹介されていたので、紹介したいと思います。

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まず過去10年の推移ですが、90年代前半のハイパーインフレと言われる10%を優にこえる超インフレ率から、94年のレアルプラン(通貨レアルの導入、変動相場制の導入)以降のインフレの抑制、2000年前半の資源価格高騰による輸出の好調期のインフレの抑制を経て、最近は4〜6%台に落ち着いている印象です。しかし、デフレに慣れている日本人にとって、ブラジルで生活すると6%のインフレも「えっ、もう値上げ?」と感じることが多いです。

 

現在レアル安が進行しており今年は輸入製品の値段が一段と高まりインフレがさらに進む可能性があります。

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まだ、カテゴリー別のインフレ率では食料と交通のインフレ率が相対的に高くなっています。食料価格は国際相場の影響を受け、国内市場でも価格ボラティリティーが高くなっていますし、交通に関しても最近サンパウロのバス、地下鉄、タクシーの公共料金も値上がりしたように年々高くなっている印象です。

 

ブラジルのインフレについては一度まとめてみたいと思います。

任天堂がブラジル市場から撤退

任天堂はブラジルの輸入製品に掛かる高関税率のため、今後のブラジル市場での販売を取りやめる方針を下しました。

 

任天堂の Bill van Zyll南アメリカ取締役は「残念ながら、ブラジルでの任天堂製品の販売は不安定な状況である」とコメントしています。ブラジルでの製造も検討したとのことですが、市場規模が十分でなく、工場を作る迄には至らないとの決断になったようです。過去4年間ブラジル市場で任天堂製品扱っていた、Gaming do Brasil社も今後の販売を取りやめるとしています。一方で、Juegos de Video Latinamérica社のBernard Josephs社長は「将来的な任天堂製品提供の可能性を探る為、引続きブラジル市場環境をモニタリングしていく」と伝えています。

 

任天堂はブラジル市場の最後の年となってしまった昨年、Will Uとニンテンドー3DSを発売しており、スーパースマッシュブラザーズが人気商品となっていました。

2014年のブラジル牛肉輸出は好調

2014年のブラジル牛肉輸出額は72億ドルとなり、前年の66億ドル比7.7%プラスの結果となりました。

 

年初の目標であった80億ドルには及びませんでしたが、 好調を維持しているようです。

輸出量も156万トンとなり、149万トンであった前年より3.3%プラスでした。

 

輸出先1位は香港で続いてロシア、EU、ベネズエラとなっています。

しかしながら、香港の輸入額は17億ドル、輸入量は39万9千トンとなりそれぞれ全体の23.8%、25.5%を占めており、第2位のロシアの輸入額も13億ドル、輸入量も31万5千トンとなりそれぞれ全体の18.3%、20.1%を占めていることからこの2カ国(地域)でブラジル輸出の約4〜5割を占めていることになり、供給先の多様化が課題と言われています。

 

牛肉輸出関係者は今年も去年同様好調で今年こそは輸出額80億ドルに達するだろうと伝えています。現在、ブラジルの主要輸出品目である鉄鉱石やペトロブラスの収入源である原油の価格が下落しており、2015年も暗いニュースが多くなりそうですが、実需に即した世界の食料消費は引続き堅調に推移しそうです。

2014年の新車販売台数は下落

12月の新車販売台数が発表されました。12月は前月比5.3%プラスで史上3番目の販売台数を達成しましたが、2014年通期では前年比7.4%マイナスで新車販売台数(商用車除く)は333万台となりました。2013年も前年割れだったので2年連続のマイナスとなります(因に2013年は前年比4%マイナスでした)。

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ある自動車メーカー関係者はブラジル経済の信用収縮を背景に銀行が消費者向けファイナンス枠を縮小したことに加え、ワールドカップ期間中の営業日減が販売台数減少の原因だったと分析しています。加え、昨年12月は工業製品税の減税最終月だったことから、駆け込み需要増があったと伝えています。因に、工業製品税は一般車で3%から7%へ、ハイブリット車で9%から11%へ、ガソリン車で9%から13%へそれぞれ増税(正確には減税されていたものが元に戻る)されます。

 

一方で自動車メーカーは今年、ブラジル自動車産業にとって最大の輸出国であるアルゼンチン経済の(ブラジル以上の)停滞によりすでに減産に乗り出しており、11月迄の生産量は前年同期比15.5%マイナスで推移したものの、未だ在庫がだぶついており、自動車工場組合によると42日程度の在庫量が各社の工場にあると伝えています。加え、年後半からのブラジル経済低調も相まってさらに減産が進んでいる状況です。

 

今年はレアル安の影響で輸入車が割高となるため、国内工場はある程度稼働率を保てるのではないかとの楽観的な見方も市場関係者からは出ているようです。

ペトロブラスが債権者と第3四半期決算発表について合意

火曜日夜、ペトロブラスから債権者と第3四半期決算の発表につき合意に至ったと発表がありました。

 

債権者は1月末に、外部監査人による監査済みの第3四半期決算の提出を求めていましたが、ペトロブラス側は応じず、結局1月末までに未監査の第3四半期決算を開示することで合意に至ったとのことです。

 

これで暫くの間債権者による返還請求がなくなり、一時的ではありますがフォルトが回避されたことになります。ペトロブラスは今回70億ドル分の債権について、個別に上記案で合意に至ったと発表しています。

ペトロブラス株が10年ぶりの安値水準

月曜日ペトロブラス株が急落しました。昨年の12月15日に普通株で8.52レアル迄下げた後は、買い戻しの動きがあり、9レアル台を維持していましたが、本日前日比8.11%マイナスの8.27レアル迄下落しました。優先株は8.01%マイナスの8.61レアルとなり、2004年来の安値水準となっています。 

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今回の売りは、ロンドンブレンドが5.30%マイナスの53.43ドル/バレル、NY原油が一時50ドル/バレルを下回り、終値で4.59%マイナスの50.27ドル/バレルをつけた世界的な原油価格の下落が主因のようです。

 

ペトロブラス株につられるように、ボベスパ指数も前日比2.05%マイナスの47,516ポイントとなっています。

1時間に1人が死亡する年末のブラジル交通事情

12月27日から1月1日にかけての年末年始休みでブラジルでは合計127名が亡くなる交通事故が発生しました。

 

日本でもUターンラッシュが年始の恒例となっていますが、ブラジルは国土が広い割に長距離鉄道輸送網が発達していないため、航空券を買わない・買えない層は自動的に自動車での長距離移動がメインとなります。ブラジル人に聞くと500kmくらいの距離であれば車で行こうという答えが返ってきますし、それ以上の距離でも車を利用する場合が多々あります。しかし、車間距離やスピード等の交通マナーに関する意識はかなり低いため事故が多発し、事故になった場合死亡事故に発展する場合が多いです。今回の年末年始では、227件の交通事故があり、127人の方がなくなったとの事です。

新年は株安、レアル安、金利高でスタート

ブラジルのマーケットは1月2日からオープンしていますが、初日は株安、レアル安、金利高とブラジル経済の不安を象徴する始まり方をしています。

 

ニューヨークは株高、ロンドンは不安定な動きを続けた年末でしたが、 一部ヨーロッパ中央銀行のドラギ総裁のネガティブな発言を反映してか、年明けのボベスパ指数はペトロブラス株を含め下落してスタートしました。ペトロブラスに対しては昨年の最終取引日である12月30日以降、証券委員会が全管注意義務違反に関する調査委員会を設置したことをネガティブに捉えての下げと推測されています。

 

ドル高は世界中で進行しておりブラジルレアルに対しても例外ではありません。本日は1ドル2.70レアル程度までレアル安が進行しました。金利もレアル安の影響に加え、近く再利上げの可能性をブラジル中央銀行が示唆している事を織り込み上昇しています。

ブラジル政府はペトロブラスを守ると宣言

ジルマ大統領は新年の国会演説でペトロブラスについて言及しました。

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ジルマ大統領は演説の中で不透明な資金流出によるペトロブラスの一連の騒動を嘆きつつも、「ペトロブラスはブラジルにとって最も戦略的に重要な企業であり、その国際競争力を失わずに今後の汚職事件を解決しなければならない」と述べ、さらに加えて「ブラジル政府はペトロブラスを介して(ブラジル)国内で私利私欲を肥やしている者を許さず、又外資投機筋からもペトロブラスを守る」と宣言しています。