ブラジル日記

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ウジミナスの決算発表が延期

先週の金曜日にウジミナスの経営審議会にて第4四半期末決算内容が否決されました。それに伴い、2014年の配当決議に関する資料も公表されない事態になっています。

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ウジミナスはご存知の通り、ブラジルに拠点を置く鉄鋼メーカーで、日本の新日鐵住金とアルゼンチンのテルニウムを主要株主に持っています。ウジミナスの経営を巡って、この新日鐵住金とテルニウム側で ズレが生じているのが今回の否決の原因です。

 

元々、昨年にウジミナスの役員報酬で不正受取りがあったとして、社長と役員2名を新日鐵住金側が解任しましたが、それに対して、テルニウムが反発していました。解任された社長・役員はすべてテルニウム側の指名、新社長・役員はすべて日本グループ側とされていることからもその対立が際立っています。テルニウムはウジミナスがブラジルのナショナル製鉄によって買収の危機に晒されていた時にホワイトナイト的に経営参画しています。新日鐵住金としては、ブラジルの同業鉄鋼メーカーにウジミナス経営に対し口を出されるより、外資のテルニウムの方がまだマシという事だったと思います。しかしながら、この両グループの経営に関する権利が拮抗しているだけに、意見の相違があった場合に物事が進まないということに陥っているようです。新日鐵住金側は正当性を主張していますが、意見の統一には時間がかかりそうです。

 

今回の決算否決も当該事案に関連し、役員に対する給与・賞与・福利厚生等で意見の相違があったからと伝えられています。

 

証券取引委員会に提出された書類によると経営審議会メンバーの一人であり独立弁護人は繰延税金資産の取崩可能性の検討につき反対票を投じたが、賛成多数で可決されたとしています。また、今回否決された内容ですが、監査法人のErnst&Youngからの指摘は特になかったようです。

 

引続き事態を見守りたいと思います。