ブラジル日記

ブラジル経済の主要話題や各産業セクターの実情等、現地報道と体験に基づく考察。

ブラジル中央銀行が2014年のGDP成長率を下方修正

ブラジル中央銀行(以下「中銀」)は2014年のブラジルGDP成長率を下方修正しました。9月発表時点では0.7%としていたものを、今回の発表で0.2%としました。ブラジルにとっては毎度のことなのであまり驚きはしませんが、他新興国と呼ばれる国と比較し低調さが際立っているのではないでしょうか。

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中銀は合わせ、「経済回復は早くとも2015年後半になるだろう」と伝えています。報告書では2014年の見通しと向こう4四半期(すなわち2015年第3四半期(9月)まで)累計の数字を掲載しています。2014年は上記の通りGDP成長率は0.2%、一方向こう4四半期の累計GDP成長率は0.6%になると予想しています。さらに中銀は「実体経済活動は予想されていたブラジル経済がもつ潜在的成長率を下回っている」とも伝え、供給・需要両面とも予想より下振れしたことを示しました。

 

個別に見ていくとまず供給面では、2014年の農業生産成長率を2.3%から1.4%に引き下げるのに合わせ、2015年第3四半期までの累計成長率を3.1%としています。又、2014年の工業生産成長率はマイナス1.6%からマイナス1.4%と上方修正したものの、2015年第3四半期までの累計成長率を0.3%とし、低調に推移すると予想しています。

 

一方需要面では、消費支出成長率が9月に発表された1.6%から今回1.4%に下方修正されており、2015年第3四半期までの累計成長率が0.5%となっています。又、政府支出成長率は1.7%から1.8%に引き上げられていますが、2015年第3四半期までの累計成長率は0.9%と比較的低めに予想されています。加え、投資支出成長率はマイナス6.5%からマイナス7.1%へ下方修正され、2015年第3四半期までの累計成長率をマイナス1.8%と予想していました。

 

輸出・輸入に関しては、2014年の輸出成長率を3.6%から0.2%へ大幅下方修正し、2015年第3四半期までの累計成長率をマイナス0.1%と置いています。また、2014年の輸入成長率は1%から0.6%へ修正し、2015年第3四半期までの累計成長率をマイナス1.6%と予想しています。

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数字全体をみてみると今年後半から急激に景気が落ち込み、冒頭にも記載した通り中銀も来年前半も低調局面が続くと予想しています。今まで資源価格で潤っていたブラジル経済の問題点が資源価格の下落に乗じて一気に噴出し、ブラジル景気の後退局面に入ったことが改めて鮮明になりました。

 

2期目のジルマ大統領及び財務大臣に民間より登用されたレビ氏にとって、来年はかなりの難局になると予想されます。