どうなるペトロブラス(3)
米国格付け会社ムーディーズがペトロブラスのベースライン信用リスク評価(対象企業固有の信用リスク)を「Baa3」から「Ba1」に引き下げました。
格下げはこの2ヶ月で2回目のことです。格下げ理由としてムーディーズはペトロブラスの会計監査人(PwC)が汚職疑惑における資金の流れが不透明であることを理由に7〜9 月期(ブラジルでは第3四半期にあたります)の決算の承認を拒否し、ペトロブラスの決算発表が11月にずれ込んだことにより、ペトロブラスの資金借入が困難になり、資金繰りのリスクが大幅に高まったと説明しています。さらに、連日報道されている、汚職問題に関して、米国証券取引委員会(SEC)の調査を受けている事をペトロブラス側は認めていますので、懲罰的なペナルティーが科される可能性が否定できないとの意見も合わせ示しています。
一方で、10月にムーディーズがペトロブラスの外貨および自国通貨建て債券格付けを「Baa1」から「Baa2」に引き下げていますが、今回こちらの格付けに変更はなく全体的な見通しを「ネガティブ」とするに留まっています。Folha紙にプライベートエクイティファンドのアナリストが「ペトロブラスの株主(すなわちブラジル政府)は寧ろ外貨建て債券の格付けに非常にナーバスになっている」とコメントを出しているように、今回はネガティブ見通しのみの評価でしたが、今後も現状のような混乱が続き、再度格下げされるようになれば海外からの信用を失い債券発行コストは大幅に上昇する事が予想されます。但し、ムーディーズでの格付けは「Ba1」からが投機的と判断され、現在は2つ上の格付けですので、「直ぐに危機的な状況になることはない」と同アナリストは合わせてコメントを出しています。
いずれにしても、ペトロブラスは早期に信用の回復に努めるに越した事はないでしょう。ムーディーズより上記発表された12月3日にはペトロブラス株は前日比マイナス4%となりました。